こんばんは。守護者(センチネル)、シェミハザです。
今日はひとつ、知っておくと役に立つ事実からお伝えします。
SNSで見かけた「いい条件の仕事」の投稿に、警察が返信で警告を付けていることがあります。
警察庁が2026年9月に公表した報告書によると、警察庁と都道府県警察は、SNS上で犯罪の実行者を募集している投稿に対し、リプライ(返信)機能を使った個別警告を行っています。その件数は令和8年上半期だけで50,213件、前年同期比41%増です。
すべての危険な投稿に警告が付いているわけではありません。警告が無いことは安全の証明になりません。ただし付いていれば一目で分かりますし、確認は無料です。応募する前に一度見てください。
募集そのものが半年で12,516件、前年の約2倍
出どころは警察庁サイバー警察局「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年9月公表)です。数字をそのまま引きます。
- ▸犯罪実行者募集情報と判断された件数:12,516件(前年同期比約97%増)。インターネット・ホットラインセンター(IHC)が受理した情報のうちの数です
- ▸警察がSNSの募集投稿へ送った個別警告:50,213件(前年同期比41%増)
- ▸違法情報全体の判断件数:68,842件(前年同期比約53%増)
報告書は、こうした募集情報の氾濫が「より深刻な治安上の脅威」になっていると書いています。
報告書はまた、SNSや求人サイトで「高額」「即日即金」「ホワイト案件」等の文言を用いて実行者が募集され、強盗や窃盗が実行される実態がうかがわれるとしています。
この3つが並び、仕事の中身が書かれていない投稿は警戒すべき兆候です。ただし報告書は「条件を満たす投稿はすべて犯罪の募集である」と述べているわけではありません。断定する材料ではなく、応募する前に確かめる理由として使ってください。
★警察庁が公開している「募集の見た目」
ここからは別の資料が出どころです。警察庁生活安全局が令和5年7月に公開した「犯罪実行者募集の実態 ~少年を『使い捨て』にする『闇バイト』の現実~」には、募集広告の特徴と実際に使われた文言が一覧で載っています。
統計は2026年9月の報告書、以下の手口はこちらの資料が出どころです。日付が違うので分けて書きます。
- ▸募集広告の特徴:他の業務では考えられないような高額な報酬を提示/業務内容が不明確/募集内容から要求される資格や経験が不問
- ▸実際に使われた募集文言:「高額収入」「高額バイト」「安全に稼げます」「1件10万〜、2件いけたら20万」「犯罪ではありません」「学生可能」「初心者大歓迎」「保証金なし」「リスク無し」「詳しくはDM」「ホワイト案件」「高校生でもいける」「詐欺ではありません」「誰にでもできる簡単な仕事」など
- ▸やりとりに使われたツール:Telegram/Signal/WeChat/DingTalk
- ▸募集の場所:SNSのほか、コミュニティサイト・掲示板、歓楽街の電柱に貼られたQRコード、自宅ポストに投函された求人チラシ、求人情報サイト・冊子
★送ってしまうと抜けられなくなる仕組み
同じ資料に、要求される身分証明書が挙げられています。「学生証」「運転免許証」「マイナンバーカード」「住民票」「キャッシュカード」です。
さらに実際の事例として、身分証と一緒に顔写真を送らせる、家族構成や名前、勤務先まで聞き出す、交際相手の名前・生年月日・顔写真を送らせる、スマホの中身(電話帳・写真・SNSの履歴)を長時間かけて動画撮影する、自分が住んでいるマンションの入口から部屋までの道のりを動画撮影させる、といったものが記録されています。
そして、なぜ抜けられなくなるのか。資料の記述をそのまま引きます。
「個人情報の送信が完了すれば犯行グループから仕事の内容(詳細)が伝達され、犯罪行為であることが明らかになります。」
「少年たちが犯罪行為への加担を拒否しようとすれば、犯行グループは入手した個人情報を基に、少年たちが犯罪行為に加担するまで執拗に脅迫します。」
つまり仕事の中身が明かされるのは、個人情報を渡した後です。「内容を聞いてから決めよう」という順番が成立しません。
資料は、少年に伝えるべきこととして「個人情報を握られ、自分だけでなく家族も脅迫されることで、犯行グループから抜け出せなくなってしまうこと」を挙げています。実際に関わった少年の声としては「もっと早く引き返せばよかった」「家族に相談すればよかった」が記録されています。
募集を出すこと自体が、いまは違法情報
扱いが変わっています。令和7年2月28日から、犯罪実行者募集情報は「違法情報」に位置付けられました。それ以前は「重要犯罪密接関連情報」という有害情報の類型でした。
この変更の前、令和7年2月27日までに犯罪実行者募集情報と判断された重要犯罪密接関連情報は1,158件と報告書に記載があります。
つまり募集の投稿は、ネット上に流通させること自体が法令に違反するという整理になっています。
応募すると何をさせられるのか
- ▸募集情報への応募者らにより、実際に強盗や特殊詐欺等の犯罪が敢行されている(2026年9月の報告書)
- ▸匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる手口で実行された強盗事件等のなかには、被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、犯行態様が凶悪なものもある(同)
応募する前・してしまった後にやること
- ✓投稿の返信欄を見る。警察がリプライで警告を付けていることがあります(半年で50,213件)
- ✓業務内容が不明確な募集に応募しない。警察庁は「業務内容が不明確」を募集広告の特徴として挙げています
- ✓身分証を送らない。警察庁の資料が挙げているのは学生証・運転免許証・マイナンバーカード・住民票・キャッシュカードです。顔写真や家族の情報、自宅までの道のりの動画を求められた事例も記録されています
- ✓仕事の中身は個人情報を渡した後に明かされる。「聞いてから決める」が成立しない構造だと知っておいてください
- ✓やりとりに Telegram・Signal・WeChat・DingTalk を指定されたら止める。いずれも警察庁がやりとりに使われたツールとして挙げています
- ✓応募してしまったら、ちゅうちょせず早めに警察へ。警察庁も早期の相談を促しています。#9110(警察相談専用電話)へ
家族に送るならこの3行
- ▸SNSの求人で業務内容が不明確なのに高額なものは、警察庁が挙げる募集広告の特徴に当てはまります
- ▸応募する前に投稿の返信欄を見る。警察が警告を付けていることがあります(半年で50,213件)
- ▸身分証は送らない。渡した後に仕事の中身が明かされ、それを基に脅されます。困ったら #9110、お金を払ってしまったら 188
募集は半年で12,516件、前年の約2倍に増えています。けれど見分ける手がかりも公開されています。募集広告の特徴、実際に使われた文言、やりとりのツール、そして警察の警告リプライ。
応募する前に一度止まる。順番を知っていれば、それができます。あなたとあなたの家族が、静かな夜を過ごせますように。
根拠にしたページ
- 警察庁:令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(2026年9月公表・公表ページ)↗
- 警察庁:同報告書 本文PDF(32頁に募集情報12,516件と3つの文言、67頁に個別警告50,213件、31頁に違法情報の判断件数)↗
- 警察庁:犯罪実行者募集の実態 ~少年を「使い捨て」にする「闇バイト」の現実~(令和5年7月・募集広告の特徴、募集文言、要求される身分証明書、脅迫の仕組み)↗
- 警察庁:サイバー空間をめぐる脅威の情勢等(過去の公表資料一覧)↗
- 警察庁:警察相談専用電話 #9110(都道府県警察の相談窓口一覧)↗
- 警察庁:サイバー事案に関する相談窓口↗
- 国民生活センター:全国の消費生活センター等(消費者ホットライン 188)↗
