守護者(センチネル)、シェミハザだ。今日は友だちから届く「投票してくれる?」というDMの話をする。
結論を先に置く。この手口で狙われているのは、あなたのお金ではない。あなたの友だちと家族のお金だ。乗っ取られたあなたのLINEから、周りの人へ「PayPayで送金して」と要求が飛ぶ。だから「自分は取られるものが無いから大丈夫」は通用しない。
今日の材料は2つある。ひとつはIPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口が公表した2026年第2四半期(4月〜6月)の相談状況。もうひとつはLINEヤフーが2026年5月20日に更新した公式の注意喚起だ。どちらも実際に寄せられた相談にもとづいている。
止まる一点は決まっている。認証番号(認証コード)を、画面や相手に渡さないこと。ここさえ守れば、①と②のあいだで止まる。
LINE公式が公表している3段階
LINEヤフーの注意喚起は、手口を3つの段階に分けて説明している。知り合いから届くのがこの手口の厄介なところで、送り主のアカウントはすでに乗っ取られている。
- ▸① 偽の投票画面へ誘導される。 SNS上で「コンテストのアンバサダー候補になった」「親戚の子が作品コンテストに参加している」などの誘い文句で投票を依頼してくる。指定されたURLを開くと、偽のLINEログイン画面に誘導される。偽画面のURLには、企業やサービス名と関連のない不自然な文字列が含まれているとLINEは説明している。
- ▸② アカウントが乗っ取られる。 入力した情報を使って、第三者がLINEアカウントを不正に引き継ぐ。IPAに寄せられた相談では、電話番号やパスワードに加えてSMSで届いた認証コードを相手に伝えてしまったことで乗っ取られている。
- ▸③ 家族や知人に送金が要求される。 乗っ取った第三者が、あなたになりすまして「PayPayで送金してほしい」と金銭を要求する。IPAの相談事例でも、乗っ取られたLINEから友人や家族にこのメッセージが届いている。
ここで間違えると、被害が倍になる
LINE公式が特に強く書いているのが、乗っ取られた直後の画面だ。
「アカウントからログアウトされました」という再ログイン画面で、指示どおりに「削除」をタップすると、その端末に保存されているLINEの全てのデータが削除される。必ず「再ログイン」をタップすること。
そして、こうも書かれている。「LINEをアンインストールして再インストールしてください」「削除ボタンをタップしてください」などと、第三者が不正な操作を誘導するケースが報告されています。相手が何のためにそうさせるのかまでは公表されていないが、LINEが「誘導が報告されている」と名指ししている操作であることは確かだ。慌てているときに届く「こうしてください」という指示ほど、一度止まって疑う。
今日できる自衛策
- ✓知り合いからのDMでも、投票の依頼には反応しない。 IPAが対策として最初に挙げているのがこれだ。返信もリンクのクリックもしない。送り主が親しい人であることは、安全の証拠にならない。
- ✓認証番号は、誰にも渡さない・どの画面にも入れない。 LINE公式の表現をそのまま置く。「自分でLINEの引き継ぎを行ったり、メールアドレスや電話番号の変更以外に、LINEの認証番号を使用することはありません。」つまり、自分が今まさに引き継ぎ操作をしている最中でなければ、認証番号を使う場面は無い。
- ✓突然の送金依頼は、テキスト以外で確かめる。 LINE公式は「対面やビデオ通話など、テキストメッセージ以外の手段で必ず本人に確認」と書いている。トークで「本人?」と聞いても意味がない。返事をするのは乗っ取った側だからだ。
- ✓URLの文字列を見る。 偽のログイン画面は、URLに企業名やサービス名と関係のない文字列が入っている。開いてしまった場合でも、入力する前にアドレス欄を見る。
- ✓家族に先に伝えておく。 「自分から突然PayPayで送金を頼むことは絶対にない」と、平時に一度言っておく。乗っ取られてからでは、あなたの言葉は届かない。
数字も出典のまま置いておく
IPAの情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられた2026年第2四半期(4月〜6月)の相談は3,832件。手口別で見ると「ウイルス検出の偽警告」1,428件(構成比37.3%)に次いで、「不正ログイン」が423件(同11.0%)で2番目に多い。
不正ログインの相談件数は次のように動いている。2025年4〜6月 267件 → 7〜9月 387件 → 10〜12月 346件 → 2026年1〜3月 408件 → 2026年4〜6月 423件。
IPAはこの節にこう書いている。「前四半期に引き続き、Facebook、Instagramなどに不正ログインされて、自分ではログインできなくなったという相談が多く寄せられており、増加傾向にあります。」
認証番号を教えてしまった後の手順
入れてしまった、伝えてしまった。そのときにやることが3つある。順番が大事だ。
- ▸① まずアカウントを取り戻す。 LINEヘルプセンターの「LINE乗っ取りの被害にあった場合の対処法」に、ログインできない場合の対処とアカウントの取り戻し手続きが載っている。IPAもこの手順を案内している。このとき、第三者から届く「削除して」「入れ直して」という指示には従わない。
- ▸② 周りに知らせる。 IPAは対処として「LINE上の知り合いに対して注意喚起を行う」を挙げている。あなたのアカウントから送金要求が飛んでいる可能性がある。別の連絡手段(電話、SMS、別のSNS)で「乗っ取られた、送金しないで」と伝える。この手口で実際にお金が動くのは③の段階なので、ここを止めることが金銭被害を防ぐことに直結する。
- ▸③ 同じパスワードを使っている他のサービスを変える。 IPAはパスワードを「できるだけ長く」「複雑で」「使い回さない」ものにすること、そして多要素認証が使えるサービスでは積極的に設定することを推奨している。
今日の見破りクイズ
家族に送るならこの3行
- ▸「投票して」のDMは、知り合いから来ても開かない。送り主のアカウントが乗っ取られている。
- ▸認証番号は誰にも教えない。自分で引き継ぎやメール・電話番号の変更をするとき以外、使う場面はない。
- ▸「PayPayで送金して」は、必ず電話かビデオ通話で本人に確認。迷ったら警察相談専用電話 #9110、支払ってしまったら消費者ホットライン 188。
相談先をもう一度書いておく。詐欺かもしれないと思った段階では、警察相談専用電話 #9110。警察庁は「安全に関わる悩みごと・困りごとなど、緊急でない相談の場合」の窓口としてこの番号を案内している。つまり被害が確定していなくてもかけてよい番号だ。
支払ってしまった、送金してしまった場合は、消費者ホットライン 188。最寄りの消費生活センターにつながる。
事件性があって急を要するときは110番だ。#9110は「緊急ではないが相談したい」ための番号なので、そこは使い分ける。
