こんにちは!守護者(センチネル)、シェミハザです。
今日は、「口座に身に覚えのない入金があって、電話で『返して』と言われる」場面の話です。
結論は、お金に手をつけず、相手の指示で返金も転送もせず、取引銀行の公式の番号へ連絡することです。
先に、事実確認の結果を書きます。この手口そのもの(身に覚えのない入金のあとに電話がくる。流出した口座が狙われる。マネー・ローンダリングに使われる)を述べた公的な注意喚起は、警察庁・金融庁・国民生活センター・主要な銀行のページを調べた範囲では、見つかりませんでした。「こういう話がある」ことは、この記事では事実として扱いません。
一方、近い話で確認できたことがあります。警察庁は2026年6月10日に犯罪収益移転防止法の改正を公布し、7月10日から、口座の不正な譲渡の罰則引上げと、他人のお金を別の口座へ送らせる「送金犯罪」の罰則を始めました。ゆうちょ銀行は7月2日に、口座凍結を口実に電話で送金を求める電話への注意を出し、9月10日に更新しています。
事実確認:公的資料で確認できたこと、できなかったこと
- ▸確認できた:入金済みのお金を返すには、振り込んだ側が銀行に「組戻し」を頼み、受け取った側の承諾を得る手順になっています(ゆうちょ銀行のFAQ)。電話の相手に直接返すのが正規の手順、という案内は見つかりません
- ▸確認できた:銀行は、身に覚えのない入金への対応を用意しています。三菱UFJ銀行は取引明細の確認のあと、取引店へ本人から電話する流れ、PayPay銀行は受取人の電話番号を振込依頼人へ伝える手続き(結果として組戻しになることがある)を案内しています
- ▸確認できた:「受け取ったお金を別の口座へ送る」行為は、条件によって罰則の対象になりました(警察庁。2026年7月10日施行。下の節)
- ▸確認できた:口座凍結などを口実に、電話で送金を求める電話が出回っています(ゆうちょ銀行)。ゆうちょ銀行は、口座凍結を理由に電話で送金を求めることは一切ないと明記しています
- ▸確認できなかった:「身に覚えのない入金のあとに電話で返金を求められる」手口を述べた公的な注意喚起
- ▸確認できなかった:「流出した口座が主に狙われる」という点。口座情報の流出が原因だと述べた公的資料は、見つかりませんでした
- ▸確認できなかった:この手口の件数や被害額。公表された数字は、見つかりませんでした
身に覚えのない入金は、銀行を通して返す
- ▸入金済みのお金の組戻しは、受け取った人の承諾が要ります。ゆうちょ銀行のFAQは「すでにお受取人さまの口座に入金済みの場合は、お受取人さまのご承諾をいただいた上でなければ組戻しができません」と書いています。組戻しの成否にかかわらず、組戻しの料金がかかるとも書かれています
- ▸まず取引明細を確認し、不明なら取引店へ。三菱UFJ銀行は、明細で分からないときは「ご本人よりお取引店へお電話」し、届出の電話番号へ折返しで回答すると案内しています。電話するときは、通帳やカード、銀行の公式サイトにある番号を使います(当サイトの補足)
- ▸銀行が間に入る手続きがあります。PayPay銀行は、受取人の電話番号を依頼人へ伝える手続きを用意しています(法人・個人事業主向けのFAQ)。ただし、先方から連絡があるとは限らず、結果として組戻しになることがあります
- ▸だから、電話で「今すぐ返して」と急かされても、応じる理由がありません。正規の返金は、銀行を通して、時間をかけてできる手続きです(当サイトの見方)
口座が「お金の通り道」に使われる:警察庁が罰則化した「送金犯罪」
警察庁は2026年6月の資料で、他人から口座を譲り受けて行うマネー・ローンダリングに加え、他人に依頼して、マネー・ローンダリングを「させる」新たな手口が見られると書いています。口座を譲らないことで、既存の口座売買の罰則が当たらないようにする「脱法的行為」だとしています。警察庁は、「送金バイト」という言い方が気軽な参加を促すとして、「送金犯罪」と呼ぶ考えです。
- ▸典型的な手口(警察庁の資料):① SNS等で非対面の募集。「あなたの口座に振り込まれたお金を送金するだけで、バイト代5万円」のような文面 → ② 口座番号を教える → ③ 特殊詐欺等の被害者らがその口座へ振り込み、報酬を引いた額を指定口座へ送金する。報酬が支払われるケースが大半で、自分の口座は売らずに使い続けます
- ▸罰則:他人から依頼を受けて実行した人は、2年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金(またはその併科)。反復継続した場合は、3年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金(またはその併科)です。依頼した人、募集した人も対象です
- ▸対象から外れるもの:「正当な理由」がある場合と、「有償」以外で行われた場合です。資料は、食事の会費を代表者が集めて店へまとめて送金する例などを「正当な理由」に挙げています
- ▸実態を示す数字:警察庁が公表した報告書(2025年12月)によると、令和6年の口座の不正な譲渡等(犯罪収益移転防止法第28条違反)の検挙は4,362件で、罰則を引き上げた平成23年(1,260件)の約3.5倍です。金融機関が犯罪に使われた口座を利用停止・強制解約した件数は、令和6年度に128,301件で、平成23年度(40,639件)の約3倍です
この「送金犯罪」は、自分から募集に応じた人への依頼の話で、身に覚えのない入金のあとに電話がくる話とは、別の手口です。ただ、「口座に入ったお金を別の口座へ送らされる」形は同じで、知らない入金を、電話の相手に言われて別の口座へ送れば、同じ形になります(当サイトの見方)。罰則の対象になるかは「有償」「正当な理由」などの条件で決まり、この記事では判断しません。だからこそ、自分で送らず、銀行に任せます。
電話で送金を求める電話は、すべて疑う
- ▸ゆうちょ銀行の事例1:「ゆうちょ銀行神戸店のオペレーション担当です」「すぐに500万円を指定口座に送金しないと口座が凍結されます」と送金を要求。発信者番号が偽装され、着信履歴にゆうちょ銀行神戸店の番号が出ていたものの、実在する番号が表示されていても、ゆうちょ銀行からの電話とは限らないと注意しています
- ▸ゆうちょ銀行の事例2:自動音声で「重要なお知らせがあるので、確認する場合は『0』を押してください」と流れ、押すとオペレーターが氏名・生年月日・通帳の記号番号などを聞き取ろうとします
- ▸ゆうちょ銀行の言い分:「口座凍結を理由として電話で送金を求めること」や、「暗証番号などの重要な個人情報をお尋ねすること」は一切ない。このような電話には、応答やボタン操作をしないよう呼びかけています
- ▸金融庁の注意:振り込め詐欺の被害者に、被害金を返すと言ってATMへ誘導する詐欺があります。「すぐに振り込まない!一人で振り込まない!」、事実関係を確認し、身近な人や警察、金融機関に相談する、と呼びかけています
今日できること
- ✓★身に覚えのない入金には、手をつけない。引き出さない、使わない、別の口座へ送らない。法的な扱いは事情で変わるので、判断は銀行と警察に任せます(当サイトの補足)
- ✓電話の相手に、返金も転送もしない。「間違えた、すぐ返して」「手数料はこちらで払う」「お礼をする」と言われても、電話の相手の口座へ送らない。口座番号を聞かれても、教えない
- ✓取引銀行へ、自分から連絡する。電話は、通帳・カード・銀行の公式サイトにある番号を使い、着信履歴にかけ直さない(発信者番号は偽装されうる)。入金の日時・金額・振込人名義を手元に控えておく
- ✓不審な電話は、その場で切る。「口座が凍結される」「法に触れる」と言われても、電話口で送金しない。ゆうちょ銀行は、口座凍結を理由に電話で送金を求めないと明記しています。ほかの銀行や機関でも、電話で言われた口座には送金せず、公式の番号で確認してください(当サイトの補足)
- ✓口座の売買や貸し出し、「口座に入ったお金を送るだけ」のバイトには応じない。SNSの募集で誘われても断り、気づいたら警察か銀行へ相談する
- ✓送金してしまったら、すぐ警察と銀行へ。金融庁は、まず警察や金融機関に連絡して、振り込んだ口座の利用停止を求めるよう案内しています
見破りクイズ
こんな場面を想像してください。
家族に送るならこの3行
- ▸口座に身に覚えのない入金があって、電話で「返して」と言われても、返金も転送もしない。お金に手をつけず、通帳やカードにある銀行の番号へ自分から連絡する。電話で言われた口座へは送らない
- ▸「口座が凍結される」「すぐ送金を」は詐欺。発信者番号は偽装できるので、着信履歴の番号は信用しない。相手に口座番号も教えない
- ▸不審な電話は #9110、送金してしまったら110番と銀行へ。契約や請求のトラブルは消費者ホットライン 188。(#9110、110、188は日本国内の番号です)
相談先
不審な電話や、これは詐欺かどうか迷うときは、警察相談専用電話 #9110 です。緊急ではない相談を、最寄りの警察署か #9110 で受け付けます。送金してしまった、脅されているなど、今まさに被害にあっているときは、110番です(警察庁の案内にもとづく、当サイトの補足です)。
契約や請求のトラブルは、消費者ホットライン「188(いやや!)」です。お住まいの地域の消費生活センター等につながる全国共通の番号です。
取引している銀行にも、自分から連絡してください。通帳やカード、銀行の公式サイトにある番号を使います。
確認できなかったこと
- ▸「身に覚えのない入金のあとに、電話で返金を求められる」手口を述べた公的な注意喚起。警察庁・金融庁・国民生活センター・主要銀行のページを調べましたが、見つかりませんでした。この記事は、その手口が存在すると断定していません
- ▸「流出した口座が主に狙われる」「マネー・ローンダリングに使われる」という点。この手口についての裏付けは、見つかりませんでした。「送金犯罪」はマネー・ローンダリングの手口として警察庁が説明していますが、身に覚えのない入金の話とは別の手口です
- ▸この手口の件数や被害額。公表された数字は、見つかりませんでした。この記事の数字(4,362件、128,301件)は、口座の不正な譲渡と口座の利用停止・強制解約の件数で、この手口の件数ではありません
- ▸身に覚えのない入金を使ってしまったときの法的な扱い。公的な資料では確認していません。銀行と警察、必要なら弁護士に相談してください
- ▸需要の裏付け。当サイトの検索実績(GSC)に、この話題の言い回しの表示は見当たりませんでした。「新しく聞いた話を、確認できる範囲で家族に伝える」ことが目的です
根拠にしたページ
- 警察庁:令和8年犯罪収益移転防止法の改正について(2026年6月10日公布。口座の不正譲渡の罰則引上げと「送金犯罪」の罰則創設は7月10日施行)↗
- 警察庁:「送金犯罪」に関する罰則の創設について(PDF。2026年6月。典型的な手口、構成要件、法定刑)↗
- 警察庁:金融サービスを悪用したマネー・ローンダリングへの対策に関する報告書(PDF。2025年12月。口座不正譲渡の検挙件数、口座の利用停止・強制解約の件数)↗
- ゆうちょ銀行:【緊急】ゆうちょ銀行をかたる不審な電話にご注意ください(2026年7月2日公表、9月10日更新)↗
- ゆうちょ銀行:他の金融機関へ間違って振り込みした場合、取り消すことはできますか?(入金済みの組戻しは受取人の承諾が要る)↗
- PayPay銀行(法人・個人事業主向けのFAQ):心当たりのない振込入金があった場合どうしたらいいですか。(2026年1月28日公開)↗
- 三菱UFJ銀行:身に覚えのない入出金があります。詳細を教えてください。(取引明細の確認と、取引店への連絡)↗
- 金融庁:「振り込め詐欺」にはどのようなものがあるでしょうか(救済を名乗る詐欺への注意、「すぐに振り込まない!一人で振り込まない!」)↗
- 消費者庁:消費者ホットライン188(いやや!)↗
- 警察庁:ご意見、各種相談・情報提供等(事件や事故の緊急通報は110番、緊急でない相談は警察署か #9110)↗
