こんにちは!守護者(センチネル)、シェミハザです。
パソコンでウェブサイトを見ていたら、突然「ウイルスに感染しました」という警告が画面いっぱいに広がり、大きな警告音が鳴り続ける。画面には「今すぐ〇〇のサポートに電話してください」と電話番号が出ている——。もし今まさにその状態で、この記事にたどり着いたのなら、まず深呼吸してください。
その警告は偽物である可能性が非常に高く、あなたのパソコンはウイルスに感染していません。そして表示された電話番号に電話をかけなければ、被害は発生しません。これはIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公式に説明していることです。やるべきことは、画面を閉じるだけです。
この手口は「サポート詐欺」と呼ばれています。IPAの情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられた「ウイルス検出の偽警告」の相談は、2026年4〜6月の3か月だけで1,428件。全相談の37.3%を占めて手口別で最も多く、前の3か月から約23.7%増えています。件数の推移は、2025年4〜6月の912件から同年7〜9月に647件へいったん減ったあと、10〜12月789件、2026年1〜3月1,154件、4〜6月1,428件と3四半期続けて増えています。決して珍しい話ではありません。
「サポート詐欺」はこうしてお金を奪う
この詐欺の怖いところは、パソコンを壊すことではなく、あなた自身に電話をかけさせ、自分の手で支払わせるところにあります。IPAが公開している手口の流れを、4つの段階に分けて見てみましょう。
- ▸①「罠の広告」をクリックさせて偽の警告を出す:ウェブサイトに仕込まれた「次のページに進むボタンに見せかけた広告」や、通常の広告そっくりのデザインの広告をクリックさせます。IPAによると、有名なショッピングサイトの名前で検索したとき、検索結果の最上位に罠の広告が表示されることもあります。あなたの操作が悪かったわけではありません。
- ▸② 全画面表示と警告音で焦らせ、電話をかけさせる:あわてて画面のボタンを押すと、警告が画面全体に広がり、「✖」(閉じる)ボタンが消えます。画面上に見えている「✖」は偽物で、クリックしても反応しません。スピーカーからは「今すぐサポートセンターに電話してください」というアナウンスが延々と流れます。これらはすべて、冷静な判断をさせないための細工です。なお、表示される電話番号は2023年8月ごろから「0101」で始まるものに変わっており、これは北米への国際電話です。国際通話料金が発生する可能性があります。
- ▸③ 電話すると「Microsoftのサポート」を名乗り、遠隔操作させる:電話に出たオペレーターは自分をマイクロソフトのサポートエンジニアだと名乗り、「Windowsキー + Rキー」を押すなどの操作を指示して、遠隔操作ソフトを入れさせます。悪用されるのはAnyDesk、LogMeIn Rescue、TeamViewer、UltraViewerといった、実在する普通のソフトです。そのうえで画面をあれこれ開き、「パソコンに問題がある」というウソの説明をします。
- ▸④ 偽のサポートプランを見せて支払わせる:「5年保証」「10年保証」などの契約を提示し、数万円〜10万円程度を請求します。支払いはコンビニでGoogle PlayギフトカードやAppleギフトカードを買わせ、そのコードを伝えさせる形が典型です。IPAには、コンビニを何往復もさせられて100万円を超える被害に至った相談や、遠隔操作中にネットバンキングを開かされ、入力した送金額に「0」を足されて198万円を送金させられた事例も寄せられています。
今この画面が出ている人へ:閉じ方
電話をかけていないのであれば、対処は画面を閉じるだけです。パソコンは今までどおり使えます。警告音がうるさいときは、まずパソコンの音量を下げて、落ち着いて操作してください。IPAが案内している閉じ方は次の2つです。
- ▸手順1:キーボードの「ESCキー」を3秒ほど長押しします。全画面表示が解除され、画面右上に本物の「✖」(閉じる)ボタンが現れるので、それをクリックして閉じます。ESC長押しで出てこないときは、警告画面の中を一度クリックしてから、もう一度ESCキーを長押ししてみてください。
- ▸手順2:それでも閉じられない場合は、「Ctrl」「Alt」「Delete」の3つのキーを同時に押します。表示された画面から「再起動」を選んでください。ただし、再起動すると保存していない作業中のデータは失われることがあります。先に手順1のESCキー長押しを試してください。
- ▸補足:タブレットの場合は、全画面表示されている場所をロングタップすると画面中央の上あたりに「×」マークが出ます。これはESCキーの長押しと同じ役割です。
- ▸補足:画面の右下から警告が繰り返し出続ける場合は、ブラウザの「通知」設定に許可が残っています。ブラウザの設定から、そのサイトの通知許可を削除してください。
「操作を練習しておきたい」という方のために、IPAは偽の警告画面を安全に再現した公式の体験サイトを公開しています。実際の詐欺サイトではなくIPAが作った練習用のページなので、安心して閉じ方を試せます。パソコンに慣れていないご家族と一緒に、一度やってみるのがおすすめです。
電話をかけてしまった・遠隔操作された場合
もう電話をしてしまった場合でも、落ち着いて段階を追って対処すれば大丈夫です。IPAが示している対処は次のとおりです。
- ▸話しただけでソフトを何も入れていない場合:パソコンへの影響は無いと考えられます。偽の警告画面を閉じ、念のためブラウザの履歴を消去してください。
- ▸遠隔操作ソフトを入れてしまった場合:そのソフトをアンインストールし、あわせてWindowsの「システムの復元」を行うことがIPAから推奨されています。アプリの一覧に見当たらない種類のソフトもあるため、その場合は「システムの復元」だけを行ってください。復元ができないときは初期化が推奨されています。
- ▸操作中に、自分が触っていないのに画面が勝手に動いている場合:すでに遠隔操作されています。すぐにネットワークを切断して、遠隔操作を断ち切ってください。
- ▸ネットバンキングを開かされた場合:送金前ならパスワードを変更し、身に覚えのない取引が無いか確認して銀行に相談します。すでに送金してしまったら、至急、振込先の銀行と自分の口座がある銀行、そして警察に連絡してください。
- ▸ギフトカードのコードを伝えてしまった場合:カードを購入したコンビニのレシートを保管し、消費生活センターと警察に相談してください。
今日からできる自衛策
- ✓画面いっぱいの警告に電話番号が書かれていたら、まず偽物を疑う。本物のセキュリティソフトが電話をかけさせることはない。
- ✓警告画面に表示された電話番号には絶対に電話しない。電話をかけなければ被害は発生しない。
- ✓見知らぬ相手に頼まれても、遠隔操作ソフトのダウンロードやインストールをしない。
- ✓サポート料金をコンビニのギフトカードで払うよう言われたら、その時点で詐欺と判断して電話を切る。正規のサポートがギフトカードで支払いを求めることはない。
- ✓会社や学校のパソコンで警告が出たら、自分で判断せずに管理者へ連絡する。
- ✓パソコンに不慣れな家族には、「この画面が出ても感染していない」「電話番号には絶対にかけない」の2点を、事前に伝えておく。
困ったときの相談先
支払ってしまった、遠隔操作された、契約させられた——どの段階であっても、一人で抱え込まないでください。恥ずかしいことではありません。IPAの窓口には毎月何百件も同じ相談が寄せられています。
警察相談専用電話:#9110(全国共通の番号です。警察庁は「生活の安全に関わる悩みごと・困りごとなど、緊急でない相談」の窓口として、最寄りの警察署への連絡とあわせてこの番号を案内しています。警察庁の資料によると受付は平日8時30分〜17時15分で、各都道府県警察によって異なります。土日・祝日と時間外は、24時間受付の一部の警察を除き、当直または音声案内での対応です。事件が今まさに起きているなど急を要する場合は110番です)
消費者ホットライン:188(局番なし。最寄りの消費生活センターにつながります。「サポート契約を取り消したい」という相談はこちらです)
手口そのものについて確認したいときは、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口も利用できます。下のリンクは、この記事の根拠にした公的機関のページです。
