こんにちは!守護者(センチネル)、シェミハザです。
今日は、会社の「社長」の名前で届くメールの話です。
結論は、「LINEグループを作ってQRコードを返信して」というメールが社長名で届いても、従わず、返信もせず、社長本人に電話など別の方法で確かめることです。
今日の実例です。警察庁は、2026年9月10日に公表した「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」で、「ニセ社長詐欺」を取り上げました。令和8年1月から6月までに、認知件数は127件、被害額は約38億8,000万円で、既遂1件当たりの被害額は約3,100万円と書かれています。フィッシング対策協議会の8月分の月次報告(2026年9月18日公開)も、社長の名前でLINEグループを作らせて振り込め詐欺に誘導するメールの報告が、前月と同様に多数寄せられたとしています。
これは、会社員だけの話ではありません。警察庁によると、メールはネットで公開されている会社のメールアドレスに届きます。あなたの勤め先やパート先、家族が営む小さな会社にも届く可能性があります(当サイトの補足)。先に、分かっていることと分からないことを分けます。手口の流れと対処は警察庁とIPAが公表しています。分からないのは、狙われた会社の業種や規模、犯人が社長名を入手した方法で、公表資料に書かれていません。
社長名のメールから、送金までの流れ
- ▸① 社長名のメールが届く。警察庁によると、経営者などになりすました者から、インターネット等で公開されている法人のメールアドレスにメールが届きます。実在する社長名や会社名が使われるため、気がつきにくいと警察庁は書いています
- ▸② グループの作成を指示される。「新しいプロジェクトのため」などと業務を装い、SNSグループの作成と、そのグループの招待用QRコードの返信を指示されます(警察庁)。IPAは、「LINEのグループを作成しQRコードを返信しろ。」「グループには他の人は入れないように。」という文面を例に挙げています。警察庁によると、振込権限を持つ担当者をグループに含めるよう指示されることもあります
- ▸③ グループ内で社長になりすまし、口座を聞き出す。警察庁によると、グループ内のやりとりで法人の口座残高を回答させるなどします。IPAは、LINEのグループ上で社長等になりすまし、多額の振り込みを業務として指示してくる事例を確認しています
- ▸④ 指定の口座に送金させる。「事業資金が至急必要だ」「取引先への支払いを代行してほしい」などと言い、指定した口座に送金させます(警察庁)。指示どおり振り込むと、金銭被害になります(IPA)
見分けるポイント(IPAの整理)と、当サイトの補足
- ▸IPAが挙げる特徴① 差出人の表示名が、自社や取引先の社長名・社員名になっていることがある。IPAは、公開情報や漏えい情報から取得していると推察しています
- ▸IPAが挙げる特徴② 差出人のメールアドレスは、outlook.com、hotmail.com、gmail.comなどのフリーメール。表示名が社長でも、アドレスは会社のものではありません
- ▸IPAが挙げる特徴③ 宛先は、自社のメーリングリストのアドレスのことが多く、件名は自社の会社名になっていることが多い。不特定多数宛てに大量に送信されているとIPAは書いています
- ▸IPAが挙げる特徴④ 本文は、業務の指示を装う。「LINEのグループを作成しQRコードを返信しろ。」「グループには他の人は入れないように。」などです。数は少ないものの、マルウェアに感染させる目的の添付ファイルが付いている例もあります(IPA)
- ▸当サイトの補足:表示名と本文の「社長らしさ」は、本物の証拠になりません。実在の社長名や会社名が使われる(警察庁)からです。「他の人は入れないように」という指示は、周りに相談させないためと考えられます(当サイトの見方。公表資料に理由は書かれていません)
今日できること
- ✓★メールに従わない。グループを作らない。QRコードを返信しない。IPAは、メールの内容には従わずに、必要に応じて社内へ報告するよう呼びかけています
- ✓社長本人への確認は、そのメールへの返信ではなく、電話など別の方法で。IPAは、送られてきたメールには返信せずに確認するよう書いています
- ✓本文のURLにはアクセスせず、添付ファイルは開かない。IPAの対処です
- ✓迷ったら、一人で決めない。会社に不審メールを受け取ったときのルールがあれば、それに従って報告します。判断に迷う場合は、システム担当部署や周囲に相談します(IPA)
- ✓経営者や経理の担当なら、社内で共有して、送金のルールを見直す。警察庁は、この種の事案を社内で情報共有し、送金に関するルールを再確認するよう呼びかけています。IPAは、振込の二重チェックなど、承認フローの整備を挙げています
- ✓家族にも伝える。この記事の「家族に送る3行」を、会社で働いている家族や、会社を営む家族にそのまま送ってください
もし、グループを作って、QRコードを返信してしまったら
- ▸① それ以上、やりとりを続けず、お金や口座の話に応じない。(当サイトの補足)
- ▸② グループを通報して、すぐ退出する。警察庁は、SNSのトーク画面やプロフィール画面などに「通報」機能があれば通報したうえで、速やかにグループから退出することが適切と書いています
- ▸③ 会社の責任者や、システム担当にすぐ知らせる。IPAは、会社にルールがあればそれに従って報告するよう書いています。一人で抱え込まないでください
- ▸④ 口座残高や口座の情報を答えてしまった、または送金してしまったら、一刻を争います。警察庁とIPAのページには、この段階の具体的な手順は書かれていません。当サイトの補足として、警察に相談してください。お金を取られた、取られそうなど今まさに被害にあっているときは110番、迷うときは警察相談専用電話 #9110です。振込先の金融機関への連絡も急いでください(当サイトの補足)
見破りクイズ
こんな場面を想像してください。
家族に送るならこの3行
- ▸会社の社長の名前で「LINEグループを作ってQRコードを返信して」とメールが来ても、従わない。警察庁は、令和8年1〜6月に127件・約38億8,000万円のニセ社長詐欺を確認している
- ▸★確かめるときは、そのメールに返信せず、社長に電話など別の方法で。グループを作ってしまったら、通報してすぐ退出する
- ▸迷ったら一人で決めず、会社の責任者へ。警察への相談は #9110、お金を取られそうなら110番、契約や請求のトラブルは消費者ホットライン 188。(#9110、110、188は日本国内の番号です)
相談先
これは詐欺かどうか迷うときは、最寄りの警察署か、警察相談専用電話 #9110 です。お金を取られた、取られそうなど、今まさに被害にあっているときは110番です(警察庁の案内にもとづく、当サイトの補足です)。
契約や請求のトラブルは、消費者ホットライン「188(いやや!)」です。お住まいの地域の消費生活センター等につながる全国共通の番号です。
会社のパソコンやメールのセキュリティの相談は、IPAのサイバーセキュリティ相談窓口があります(リンクは下の「根拠にしたページ」のIPAのページから)。
確認できなかったこと
- ▸127件がどんな業種・規模の会社か、何通のメールが送られたか。警察庁のレポートには書かれていません
- ▸犯人がどうやって社長名や会社のメールアドレスを入手したか。IPAは、公開情報や漏えい情報から取得していると「推察」しています。確定した情報ではありません
- ▸個人や家庭の被害が、この数字に含まれるか。警察庁は「法人被害」と書いており、個人の被害は説明されていません
- ▸2026年7月以降の件数。警察庁の数字は1〜6月のものです。フィッシング対策協議会は、8月も多数の報告があったとしますが、件数は書いていません
- ▸IPAの相談件数(2025年12月16日〜2026年3月10日に106件)と、警察庁の認知件数の関係。IPAは、その時点で「相談窓口に金銭被害まで発展した相談は寄せられていない」としています。数える範囲が違う(相談窓口への相談と、警察が把握した事案)ため、足し合わせたり比べたりできません(当サイトの見方)
- ▸振り込んでしまった後の具体的な手順。警察庁とIPAのページには、書かれていませんでした
