FORSMILE
EN
セキュリティ2026/10/13

【緊急】Apache HTTP Server CVE-2026-57941 ほか計20件:2.4.69で修正(CVSS 9.8、Apache自身の評価は「中」)— 2.4.68以前は更新を

Apache HTTP Server 2.4.69 が2026年10月1日に公開され、20件の脆弱性が修正されました。NVDに載るCISAのCVSSは3件が9.8(CVE-2026-57941・56154・59797)ですが、Apache自身は20件を「中」5件・「低」15件と評価しており、CISAのKEVにも載っていません。2.4.68以前を動かしているなら 2.4.69 へ、OS付属のApacheなら版番号ではなくディストリビューションの修正状況で確認してください。

← ブログ一覧へ / Back to Blog

Apache HTTP Server 2.4.69 が2026年10月1日に公開され、2.4.68 以前の20件の脆弱性が修正されました。NVDに載っているCVSS(CISAが付けた v3.1)は、20件のうち3件が9.8(CVE-2026-57941・CVE-2026-56154・CVE-2026-59797)で、16件が7.0以上です。ところがApache自身は、この20件を「中(moderate)5件・低(low)15件」と評価しており、「重要」以上はありません。JVN(JPCERT/CCとIPAの脆弱性情報サイト)も10月2日に更新を呼びかけています。

先に、分かっていることと分からないことを分けます。この記事を確認した10月13日の時点で、悪用が確認されたとする資料は見つかっていません。CISAのKEV(悪用が確認された脆弱性のカタログ)には、10月13日に取得した版(更新日時は10月8日)で、この20件とも載っていません。CISAがNVDに付けた評価でも、20件すべてが「悪用状況:なし」です。
ただし、「悪用が確認されていない」は「安全」ではありません。Apacheは公開サーバーの定番で、20件の多くがネットワーク越しに届くものです。公開から12日たっているため、まだ更新していないなら、いま更新する理由は十分にあります。

⚠ CVE Score — 最高危険度 / CRITICAL
9.8CRITICALCVSS v3.1CVE-2026-57941

今すぐ行う対策

  • ✓まず、動かしているApacheの版を確認する。サーバーで `httpd -v`、`apache2 -v` または `apachectl -v` を実行します。表示が 2.4.69 なら、この件は対応済みです。2.4.68 以前なら、次の項目へ進んでください(Windowsは、Apacheの配布元が第三者のビルドを案内しているので、そのビルドの提供元の案内を確認します)
  • ✓自分でビルドした、または公式の配布物を使っているなら、2.4.69 へ更新する。ダウンロードは公式の配布ページにあります。更新したら、サービスを停止してから起動し直し(`systemctl restart` など、使っているサービス管理の再起動)、もう一度 `-v` で版を確認してください。設定の再読み込み(reload や graceful)だけでは、新しいバイナリに切り替わらないことがあります(Apacheの公式文書は、graceful な再起動では親プロセスが残ると書いています)
  • ✓OSのパッケージで入れたApacheは、版番号だけで判断しない。ディストリビューションは、版番号を上げずに修正だけを取り込む(バックポート)ことがあります。下の「OS付属のApache」の節のとおり、Ubuntuは古い版番号のまま CVE-2026-57941 が修正済みですが、Debianの bookworm・trixie は10月13日の時点で「vulnerable(未修正)」と表示されています。自分のOSの追跡ページで、自分の版を確かめてください
  • ✓更新を適用する。OSのパッケージ管理ツールで、Apacheのセキュリティ更新が出ていれば適用します(Debian系なら `apt list --upgradable` で `apache2` が出るか確認)。出ていなければ、OSの提供元が対応するのを待つか、公式の 2.4.69 へ移る選択になります
  • ✓すぐ更新できないなら、公式の緩和策は出ていないので、使っている機能で絞る。Apacheは、この20件に対する回避策を告知に書いていません。下の「修正された20件」の節で、使っていないモジュール(WebDAV、mod_proxy_ftp、mod_userdir など)の項目は、当てはまらないことが多いです(当サイトの補足で、公式の手順ではありません)

影響を受ける版と修正版(Apacheの告知より)

  • ▸修正版は Apache HTTP Server 2.4.69(2026年10月1日公開)です。公式の配布ページで、この版が現行の安定版と案内されています
  • ▸影響を受ける版は、多くが 2.4.0 から 2.4.68 までです。モジュールによっては範囲が狭く、たとえば mod_http2 の CVE-2026-57941 は 2.4.17〜2.4.68、CGIの内部リダイレクトの CVE-2026-42356 は 2.4.60〜2.4.68、mod_proxy_uwsgi の CVE-2026-63718 は 2.4.30〜2.4.68、mod_proxy_html の CVE-2026-56449 は 2.4.68 だけです
  • ▸Windows版だけに関わる項目が1件あります。CVE-2026-59685 は、8.3形式の短い名前を含むパスの処理に関するもので、Apacheの説明は「on Windows」です
  • ▸2.4.69 より前の 2.4 系で、これを直す別の修正版(2.4.68 の追加リリースなど)は、公式の一覧に見当たりません。更新先は 2.4.69 です

「CVSS 9.8」と、Apacheの評価「低」「中」がずれている

この記事の見出しの9.8は、Apacheが付けた点数ではありません。NVDのページに載っているCVSS v3.1は、20件とも付与元が「CISA-ADP」(CISAがNVDに付けた評価)で、NIST自身の評価は、10月13日に取得した時点で見当たりません。一方、Apacheの告知に載っているのは、点数ではなく「重要度(low・moderate など)」だけです。Apacheは、この評価が「環境によって変わりうる」と、2.4系の脆弱性一覧のページに書いています。

  • ▸CVE-2026-57941(mod_http2):CISAのCVSSは 9.8(CRITICAL)、Apacheの評価は「moderate」
  • ▸CVE-2026-56154(mod_rewrite):CISAは 9.8、Apacheは「low」。Apacheの説明は、先読み(`%{LA-U:HTTP:...}`)を使ったときの use-after-freeです
  • ▸CVE-2026-59797(mod_ssl):CISAは 9.8、Apacheは「low」。SSLRequire と、ファイルに関する式(.htaccess から使える ap_expr の関数)に関する権限の問題です

どちらを採るかは、読者の環境で決まります。CVSSは「最悪の条件がそろったときの深刻さ」を点数にしたもので、Apacheの評価は「その欠陥が普通の運用でどれだけ起こりうるか」を見た印象に近い、というのが当サイトの読み方です(Apacheが評価の根拠を細かく説明しているわけではありません)。条件が合うかどうかは、自分の設定を見ないと分かりません。たとえば mod_rewrite の先読み、mod_http2 の有効化、.htaccess の許可のどれを使っているかで、当てはまる範囲が変わります。迷うなら、更新で全件を消すのがいちばん確実です。

修正された20件(Apache自身の評価別)

括弧内の数字は、NVDに載っているCISAのCVSS v3.1です。条件は、Apacheの説明に書かれているものを短くまとめたものです。完全な条件は、Apacheの一覧の各項目で確認してください。

  • ▸【Apacheの評価:moderate(中)・5件】
  • ▸CVE-2026-57941(9.8):mod_http2 の use-after-free(共有バッファの再入)。2.4.17〜2.4.68
  • ▸CVE-2026-59685(7.5):Windowsで、8.3形式の短い名前を含むパスを処理するときの境界外書き込み
  • ▸CVE-2026-63292(7.5):mod_vhost_alias のスタックオーバーフロー。8192バイトを超える Host ヘッダで、VirtualDocumentRoot がホスト名の書式指定子を使い、かつ LimitRequestFieldSize を既定より大きくしている場合に、DoS(サービス停止)や任意コード実行の可能性があります
  • ▸CVE-2026-42528(4.3):mod_dav の共有ロックのオーバーフロー。WebDAVのロックを作れる権限のある攻撃者が、子プロセスを落とせます
  • ▸CVE-2026-93546(8.8):mod_dav_fs の名前空間の整数オーバーフロー。書き込み権限のあるWebDAVクライアントが、多数のXML名前空間を宣言した PROPPATCH で子プロセスを落とし、プロパティのデータベースを壊せます
  • ▸【Apacheの評価:low(低)・15件】
  • ▸CVE-2026-56154(9.8):mod_rewrite の use-after-free(`%{LA-U:HTTP:...}`)
  • ▸CVE-2026-59797(9.8):mod_ssl の SSLRequire と .htaccess の ap_expr のファイル関数による権限の問題
  • ▸CVE-2026-73636(8.1):mod_auth_digest のワンタイムnonceの再送攻撃。中間者(MITM)が、クライアントの共有メモリのエントリを消させる(ガベージコレクションを起こす)リクエストを送って再送します。AuthDigestNonceLifetime が 0 のときです
  • ▸CVE-2026-73637(7.3):mod_auth_digest の use-after-free。AuthDigestNcCheck が有効、または AuthDigestNonceLifetime が 0 のとき、同時リクエストで認証状態が壊れます
  • ▸CVE-2026-48005(7.5):mod_auth_digest で、偽の Authorization ヘッダにより再認証を強制できる(AuthDigestNcCheck が有効なとき)
  • ▸CVE-2026-46729(7.5):mod_heartmonitor(unicast リスナー)の NULL ポインタ参照
  • ▸CVE-2026-47360(7.5):mod_session_cookie で、SessionCookieRemove が内部リダイレクトをまたいで変わるとき、セッションクッキーがバックエンドへ渡ることがある
  • ▸CVE-2026-56153(7.5):mod_charset_lite のヒープオーバーフロー
  • ▸CVE-2026-56449(7.5):mod_proxy_html の境界外書き込み。細工されたHTTP応答の本文で起きます(2.4.68 だけ)
  • ▸CVE-2026-58415(5.3):mod_dav_fs で、権限のない人が .DAV の状態ディレクトリを GET して、WebDAVの属性を読める
  • ▸CVE-2026-63045(7.5):mod_proxy_ftp のPASV応答の検証不足。フォワードプロキシの設定で、信頼できないFTPサーバーが第三者のホストへの接続を開かせられます
  • ▸CVE-2026-63686(7.5):mod_xml2enc の NULL ポインタ参照。信頼できないバックエンドの応答で、文字コードの変換が一部成功してから失敗するとき
  • ▸CVE-2026-63718(7.5):mod_proxy_uwsgi の Transfer-Encoding による応答スマグリング(2.4.30〜)
  • ▸CVE-2026-79768(5.3):mod_userdir で、絶対パス・ワイルドカードなしの UserDir の設定のとき、パスの「/./」による情報漏えい
  • ▸CVE-2026-42356(3.7):CGIプログラムからの内部リダイレクトで、CGIが有効なディレクトリ内にあり、mod_mime が理解する別の拡張子を持たないファイルがCGIとして実行される「限定的なRCE」(2.4.60〜)

OS付属のApacheは、版番号だけで判断しない

2.4.69 を自分で入れていなくても、直っていることがあります。ディストリビューションは、修正だけを古い版番号のパッケージへ取り込む(バックポート)ことがあるからです。ここに書いたのは CVE-2026-57941 についての、10月13日の確認結果です。残りの19件は、それぞれの追跡ページで確認していません。

  • ▸Ubuntu:追跡ページでは、26.04 LTS は 2.4.66-2ubuntu2.5、24.04 LTS は 2.4.58-1ubuntu8.16、22.04 LTS は 2.4.52-1ubuntu4.24 以降が「Fixed(修正済み)」です。20.04 LTS と 18.04 LTS は、Ubuntu Pro の拡張セキュリティ保守(ESM)で修正が提供されると書かれています。16.04 と 14.04 は「Not affected」です
  • ▸Debian:追跡ページでは、bookworm(2.4.68-1~deb12u1)と trixie(2.4.68-1~deb13u1)は「vulnerable」で、修正済みと表示されるのは 2.4.69-1(forky・sid)です。セキュリティ用のリポジトリ側のパッケージ(bookworm は 2.4.67-1~deb12u3、trixie は 2.4.67-1~deb13u3)も「vulnerable」です
  • ▸確認の手順:自分のOSの追跡ページで、自分のパッケージの版が「Fixed」の版以上かを見ます。`apache2 -v` が 2.4.58 と出ても、Ubuntu 24.04 で `8.16` 以降の修正版を入れていれば、CVE-2026-57941 については修正済みです
  • ▸Red Hat系(RHELなど)とその他のOSは、この記事では確認していません。それぞれの提供元の案内を見てください

何が起きたか(日付つき)

  • ▸2026年10月1日:Apache HTTP Server 2.4.69 が公開され、20件の脆弱性の修正が告知されました。同日に、20件のCVEがNVDにも載りました(CISAが同日にCVSSとSSVCを付けています)
  • ▸10月2日:JVNが「Apache HTTP Server 2.4における複数の脆弱性に対するアップデート(2026年10月1日)」を公表しました(JVNVU#94648869)。内容は、Apacheのアドバイザリを参照するよう案内するものです
  • ▸10月13日(本記事の確認日):Debianの bookworm・trixie は CVE-2026-57941 が「vulnerable」、Ubuntu は修正済み(上の節)。CISAのKEVには、20件とも載っていません(10月8日更新版)

悪用について、分かっていることと分からないこと

分かっていること。Apacheの告知は、修正版と影響範囲を示しています。悪用を確認したとは、書かれていません。CISAのKEVにも載っておらず、NVDに載っているCISAのSSVC評価は、20件すべてで「悪用状況:なし」です。そのうちCVE-2026-57941・CVE-2026-56154・CVE-2026-59797 の3件は、「自動化できる(automatable: yes)」「技術的影響は全面的(total)」とされています。

分からないこと。公開から12日たった今も、攻撃コードが出回っているか、実際に攻撃されたかは、確認できる資料がありません。悪用の記述が無いことを、安全の根拠にしないでください。

確認できなかったこと

  • ▸CVSS 9.8 の3件が実際に成り立つ設定の条件。Apacheの告知は、CVE-2026-57941・56154・59797 について、どの設定なら外部から届くかを詳しく書いていません。自分の環境で当てはまるかは、使っているモジュールと設定で確かめてください
  • ▸NIST自身のCVSS評価。NVDに載っているCVSSは、CISA-ADPが付けたものです。NISTの評価が付くと、数字が変わることがあります
  • ▸残り19件のディストリビューション別の修正状況。この記事で確認したのは、CVE-2026-57941 の Ubuntu と Debian だけです
  • ▸侵害の痕跡(IoC)。公式資料に、検知用のログの形やファイル名は出ていません
  • ▸公式の緩和策。Apacheは、この20件に対する回避策を告知に書いていません。上の「条件」は、Apacheの説明文から当サイトが整理したものです

共有するならこの3行

  • ▸Apache HTTP Server 2.4.69(2026年10月1日)で20件の脆弱性が修正された。NVDのCVSSは3件が9.8(CVE-2026-57941・56154・59797)だが、Apache自身の評価は「中」5件・「低」15件
  • ▸2.4.68以前は 2.4.69 へ更新し、サービスを停止・起動し直して `httpd -v` で確認。OS付属のApacheは版番号ではなくOSの追跡ページで確認(Ubuntuは修正済みの版あり、Debian bookworm・trixieは10月13日時点で未修正)
  • ▸悪用の確認は無い(KEV未掲載・CISAの評価は「悪用なし」)が、「安全」ではない。公開サーバーは早めに
参考リンク / References
🚨 「しまった!」と思ったら、今すぐこちらへ

被害に遭った直後・遭ったかもしれない時のための、状況別の緊急対応ガイドです。落ち着いて、上から順に対処すれば大丈夫です。

Related articles
【緊急】Movable Type CVE-2026-96408:認証なしでRCE・SQL実行(CVSS v4.0 9.3)— 9.3.0/9.0.10/8.8.6/8.0.13へ更新、できなければ mt-upgrade.cgi などを遮断2026/10/12【緊急】ProFTPD CVE-2015-3306 ほか古い脆弱性5件がCISAのKEVに追加:Struts・BIND・Strapi・ONLYOFFICEも古い版が残っていないか確認 — ProFTPDは認証なしでファイルを読み書きされる2026/10/09【緊急】Atlassian Data Center製品 CVE-2026-21589:全バージョンが影響 — 修正版へ更新し、できなければWAFで「..」を遮断2026/10/07【緊急】Zammad CVE-2026-102490:悪用が確認されたroot昇格は10/8に7.2.2で修正 — DEB/RPM版は更新、6.5以前は即更新し、サーバーへの接続を絞る2026/10/06【緊急】NetScaler ADC/Gateway CVE-2026-88779:SAML構成なら 14.1-73.41 へ — 9/27の 73.37 では足りず、認証なしでDoS2026/10/05