どの企業の事例か
ServiceNowは、企業全体の業務プロセスをデジタル化し、インテリジェントな自動化を推進するクラウドプラットフォームを提供する大手IT企業です。今回は、同社が自社製品である「Now Platform」に搭載された生成AI機能を、自らの財務部門の月次決算プロセスに適用した、いわゆる「ドッグフーディング」の事例です。
解決したかった課題
月次決算は、多くの企業の財務部門にとって、時間と労力を要する大きな課題です。特に、膨大な量の仕訳帳データを人間が手作業でレビューし、異常や不整合がないかを確認するプロセスは、非常に時間がかかり、人的ミスのリスクも伴います。ServiceNowも例外ではなく、この煩雑なプロセスをいかに効率化し、担当者をより付加価値の高い業務へシフトさせるかが課題でした。
AIをどう使ったか
ServiceNowは、自社の「Now Platform」に組み込まれた生成AI機能と機械学習を活用しました。まずAIが膨大な仕訳データを分析し、過去のパターンから逸脱した異常の可能性が高い項目を自動で検出します。さらに、検出された異常取引に対して、その内容を説明する文章のドラフトを生成AIが自動で作成。これにより、経理担当者はAIが提示した異常項目とその説明を確認・修正するだけで済むようになり、レビュー作業が大幅に効率化されました。
導入効果と見るべきポイント
- ▸これまで数日を要していた決算レビュープロセスを、わずか数時間にまで劇的に短縮することに成功しました。
- ▸自社製品を自社の重要業務で活用し、その有効性を実証している「ドッグフーディング」は、製品の信頼性を示す好例です。
- ▸AIが人間の仕事を完全に奪うのではなく、専門知識を持つ担当者の「副操縦士」として機能し、 tedious な作業を自動化することで、人間はより戦略的な分析や意思決定に集中できるという、理想的な協業モデルを実現しています。
- ▸経理・財務という、極めて高い正確性が求められる領域でAIを活用し、具体的な成果を出している点は、他の企業が導入を検討する上で重要な参考となります。
日本企業が参考にできること
多くの日本企業にとって、バックオフィス業務、特に経理部門の月次・四半期決算は大きな負担となっています。ServiceNowの事例は、必ずしも巨額の投資をして独自のAIシステムを開発せずとも、既存のエンタープライズ向けプラットフォームに搭載されたAI機能を活用することで、業務を劇的に効率化できる可能性を示しています。まずは特定の反復的な業務からスモールスタートでAI導入を試み、その効果を測定しながら適用範囲を広げていくアプローチは、多くの企業にとって現実的な選択肢となるでしょう。
