どの企業の事例か
マリオット・インターナショナルは、Marriott BonvoyアプリにAI検索機能Ask Bonvoyを提供しています。利用者が自然言語で旅行の希望を伝え、同社の施設データからホテルや目的地の候補を探す事例です。施設数や会員数は時点で変わるため、この記事では固定値を置きません。
解決したかった課題
従来のホテル検索は、行き先や日付が決まっていることを前提としたフィルター形式が主流でした。しかし、旅行者のニーズは「週末にリラックスできるスパがあるホテル」「ペットと泊まれる山小屋風の施設」など、より曖昧で多様化しています。 このような直感的でパーソナルな要望に応え、複雑な旅行計画のプロセスを簡素化し、顧客体験を向上させることが大きな課題でした。
AIをどう使ったか
マリオットは、生成AIを活用した新たな会話型検索体験「Ask Bonvoy」を導入しました。 このツールは、ユーザーが自然言語で入力した旅行の目的、場所の雰囲気、希望するアメニティ(ダイニング、スパ、ゴルフなど)を解釈し、マリオットのポートフォリオの中から最適なホテルを提案します。 重要なのは、インターネット上の不確かな情報ではなく、マリオットが独自に検証した施設データのみを回答の根拠としている点です。 これにより、情報の信頼性を担保しています。この機能はまず、一部の会員向けにベータ版として提供され、フィードバックを元に改善を進めていく計画です。
予想アーキテクチャ
以下は公開情報と一般的な構成から推定した予想アーキテクチャです。実際の内部構成を断定するものではありません。
- ▸確認済み: 利用者は自然言語で希望を入力し、ホテルや目的地の候補を探せます。
- ▸確認済み: 回答はマリオットが検証した社内の施設データを参照します。
- ▸確認済み: Marriott Bonvoyアプリ内で検索し、通常の検索フィルターへ移れます。
- ▸推定: 使用モデル、RAGの実装、会員履歴の利用、監視方法の詳細は公表資料から確定できません。
導入効果と見るべきポイント
- ▸確認できる効果や変化: 従来の日付・場所検索から、より直感的で会話的な旅行計画体験へとシフトしました。 これにより、まだ行き先を決めていない潜在顧客に対しても、魅力的な提案を行い、エンゲージメントを高めることが期待されます。
- ▸読者が注目すべきポイント: この取り組みの核心は、単なるAI検索ではなく、「信頼できるデータソース」に限定している点です。 AIの回答の正確性を担保することで、ユーザーは安心して旅行計画を進められます。顧客データを活用し、自社プラットフォーム内で体験を完結させることで、顧客との関係を強化する戦略です。
- ▸注意点: ベータ版からの段階的な展開が示すように、グローバルな多言語対応や、より複雑な要望への対応、そしてAIの応答速度とコストのバランスが今後の課題となります。
日本企業が参考にできること
マリオットの事例は、顧客との対話を通じてニーズを深く理解し、自社が持つ信頼性の高いデータを活用してパーソナライズされた価値を提供するという、AI活用の王道を示しています。あらゆる業界において、自社の製品やサービスに関する正確なデータベースをAIと組み合わせることで、顧客の曖昧なニーズに応える「相談相手」のような役割を担うことが可能です。まずはFAQ対応など、限定的な領域から会話型AIを導入し、顧客とのエンゲージメントを高めていくアプローチは、多くの企業にとって参考になるでしょう。
