どの企業の事例か
Booking.comは、世界最大級のオンライン旅行プラットフォームです。世界中の宿泊施設、フライト、レンタカーなどを提供し、数百万人の旅行者に利用されています。同社は長年、機械学習を活用してきましたが、近年の生成AIの進化を受け、顧客の旅行計画体験を根本から変える「AI Trip Planner」を導入しました。
解決したかった課題
従来の旅行計画は、ユーザーにとって多くの時間と手間がかかるプロセスでした。目的地、宿泊施設、アクティビティなどをそれぞれ検索し、膨大な選択肢の中から比較検討する必要がありました。特に「夏休みに家族で楽しめるビーチリゾートは?」といった漠然としたニーズを持つユーザーにとって、計画の第一歩を踏み出すのは大きなハードルでした。
AIをどう使ったか
Booking.comのAI Trip Plannerは、同社の既存の機械学習による宿泊施設推薦に、OpenAIのChatGPT APIの大規模言語モデルを一部組み合わせた会話型機能です。利用者は目的地の候補、宿泊条件、旅程などを自然言語で相談できます。提案された宿泊施設は価格情報や詳細ページへつながり、Booking.comアプリの通常の予約手続きへ移れます。
導入効果と見るべきポイント
- ▸2023年6月、米国の一部のGenius会員を対象に英語版ベータとして始まりました。
- ▸目的地が決まっていない相談から、家族向け設備など具体的な条件まで会話で絞り込めます。
- ▸提案はBooking.comの宿泊施設情報と予約画面へつながりますが、AIが利用者に代わって自律的に予約するものではありません。
- ▸段階的なベータ提供であり、正確性や対象地域を確認しながら利用する必要があります。
日本企業が参考にできること
この事例は、顧客が多くの選択肢の中から自分に合ったものを見つけるのに苦労している業界(例えば、不動産、保険、ECサイト、人材紹介など)で大いに参考にできます。自社が保有する独自のデータ資産(物件情報、商品カタログ、レビュー、求人情報など)と生成AIを組み合わせることで、単なる情報検索ツールではなく、顧客一人ひとりに寄り添う「専門アドバイザー」のような新しい価値を提供できる可能性があります。スモールスタートで実用性を検証し、顧客体験を向上させるヒントがここにあります。
