どの企業の事例か
今回紹介するのは、米国のオンライン家具・家庭用品小売大手Wayfair(ウェイフェア)の事例です。同社は、オンラインで家具を購入する際の顧客の根深い課題を解決するため、生成AIを活用した新しいサービスを導入しました。
解決したかった課題
オンラインでの家具購入には、「実際に自分の部屋に置いてみないと、サイズ感や雰囲気が合うかわからない」という大きな課題があります。 この不確実性が、顧客の購買意欲を削ぎ、購入へのハードルとなっていました。Wayfairは、この「想像の壁」を取り払い、顧客がもっと自信を持って商品を選べるような体験を提供したいと考えていました。
AIをどう使ったか
Wayfairは、生成AI(画像生成モデル)を活用したバーチャルルームスタイラー機能「Decorify」を開発しました。 顧客が自分の部屋の写真をアップロードすると、AIが部屋の建築的な構造やレイアウトを維持したまま、ボヘミアン、インダストリアル、ミッドセンチュリーモダンといった様々なインテリアスタイルに部屋を「リデザイン」した画像を生成します。 生成された画像内の家具や装飾品は、Wayfairのカタログにある商品に似たものが選ばれ、そのまま購入ページへ進むことができます。 これにより、顧客は自分の部屋を舞台に、具体的な購入イメージを膨らませることが可能になりました。
導入効果と見るべきポイント
- ▸利用者が部屋の画像とスタイルを選び、生成されたインテリア案から着想を得られます。
- ▸生成画像に着想を得たWayfair商品を探せるため、イメージ作りから商品探索へつなげられます。
- ▸生成画像は実寸、在庫、設置可否を保証するものではありません。購入前には商品ページの寸法や条件を確認する必要があります。
- ▸利用画像は削除でき、公式発表ではアップロード数に上限を設けないと説明されています。
日本企業が参考にできること
この事例は、自社の製品やサービスと顧客の「現実の利用シーン」とを繋ぐために、生成AIがいかに有効であるかを示しています。特に、アパレル業界におけるバーチャル試着、不動産業界でのバーチャル内覧や家具配置シミュレーション、自動車販売におけるカスタマイズの視覚化など、ビジュアルが重要な役割を果たす多くの業界で応用可能です。顧客が持つ「自分の環境で試してみたい」という普遍的なニーズに、生成AIで応えるというアプローチは、多くの企業にとってヒントになるでしょう。
