どの企業の事例か
今回は、世界70カ国以上、10,000以上の都市でライドシェアやフードデリバリーサービスを展開するUberの事例です。 同社は、日々発生する膨大な数の顧客からの問い合わせ対応と、大規模な開発組織の生産性向上という、グローバルプラットフォームならではの課題を抱えています。
解決したかった課題
Uberは2つの大きな課題に直面していました。1つは、顧客サポート担当者が膨大な社内ナレッジの中から、問い合わせに対して迅速かつ正確な回答を見つけ出すことの困難さです。もう1つは、ソフトウェア開発者がコーディングやテスト、大規模なコードベースの移行作業などに多くの時間を費やしており、開発速度の向上が求められていた点です。
AIをどう使ったか
Uberは、社内の複数の課題解決に生成AIを導入しています。顧客サポート業務では、社内のナレッジベースと生成AIを連携させ、担当者が顧客との過去のやり取りの要約を即座に把握したり、問い合わせ内容に適した回答案を生成したりするツールを開発しました。 開発者向けには、社内のコードやドキュメントを学習させたAIアシスタントを導入し、コード生成、テストの自動化、大規模なリファクタリング(コードの内部構造の改善)などを支援しています。 これらは、同社のAIプラットフォーム「Michelangelo」上で構築・運用されています。
導入効果と見るべきポイント
- ▸顧客サポートの効率化:AIアシスタントにより、担当者が問い合わせの背景を素早く理解し、解決までの時間を短縮できるようになりました。 これにより、顧客満足度の向上と、担当者がより複雑な問題に集中できる環境を実現しています。
- ▸開発者生産性の向上:社内ハッカソンなどを通じて、コード生成やテスト自動化といった分野で生成AIの有効性を検証。 開発者がより創造的な業務に時間を割けるようになり、サービス改善のスピードアップにつながることが期待されています。
- ▸従業員体験への投資:UberはAIを顧客向けサービスだけでなく、従業員の業務効率化のために積極的に活用しています。CEO自らが「AIを持つエンジニアはスーパーヒューマンだ」と語るなど、全社的な戦略としてAI活用を推進しています。
日本企業が参考にできること
Uberの事例は、AI活用が顧客向け機能の開発だけに留まらないことを示しています。特に、社内に蓄積された膨大なマニュアルや過去の問い合わせ履歴、仕様書といった「社内ナレッジ」を生成AIと組み合わせることで、従業員の生産性を向上させるアプローチは、業界を問わず多くの企業で応用可能です。まずは、特定の部門(例えばカスタマーサポートや情報システム部)の業務を効率化する目的で、小規模にAI導入を試みることが現実的な第一歩となるでしょう。
今日のAIニュース
- How Uber creates a unified knowledge ecosystem with generative AI (Writer)↗
- The Transformative Power of Generative AI in Software Development: Lessons from Uber's Tech-Wide Hackathon (Uber Engineering Blog)↗
- From Predictive to Generative – How Michelangelo Accelerates Uber's AI Journey (Uber Engineering Blog)↗
参考リンク
- The Transformative Power of Generative AI in Software Development: Lessons from Uber's Tech-Wide Hackathon↗
- How Uber creates a unified knowledge ecosystem with generative AI↗
- Uber's journey of measuring AI impact on developer productivity - DX↗
- Real-world gen AI use cases from the world’s leading organizations | Google Cloud Blog↗
