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第9号2026年10月18日発行 / 対象期間 10/12〜10/18Read in English

今週のAIニュース15選 — オープンウェイトの大型モデルが出そろい、欧州は「科学のためのAI」に動いた週

今週の総括

今週の軸は3つです。1つ目はオープンウェイトの大型モデルが一気に出そろったことです。Metaが総816B(有効約42B)の「Muse Spark Open」を、承認制のHugging Faceリポジトリで10月15日に公開し、翌16日にはReflectionが501B(有効23B)の「Beam」をApache 2.0で出しました。NVIDIAもNemotron 3.5の新モデルを加えています。同じ週にGoogleは Gemini 4 Argon を一般提供にし、導入価格が11月30日で終わる日付を明記しました。2つ目は欧州の「科学のためのAI」で、欧州委員会が10月15日にRAISEの誓約制度を始め、Google DeepMind、Mistral、NVIDIAなどが応じました。3つ目は安全の第三者評価で、Anthropicが評価機関METRの6人に社員並みのアクセスを与えたと公表しています。国産では、10月13日にSB Intuitionsが「Sarashinaサービス」の無償ベータ(6モデルのAPIとチャット)を始め、NTT西日本が茨木市とtsuzumi 2の校務AI実証を開始、翌14日にはさくらインターネット・PFN・NICTが生成AIの「能動的評価基盤」の社会実装へ動き出しました。

モデル・製品

Google、Gemini 4 Argonを一般提供。有料APIは入力$2・出力$10で、この価格は11月30日まで

Argonが正式にAPIとGeminiアプリへ載り、12月1日に価格が倍になる日付が明示された。

10月13日、Gemini APIのリリースノートが gemini-4-argon を一般提供(GA)と記載しました。9月30日の発表時は信頼できる防御者向けの限定提供でした。有料ティアのみで、無料ティアでは使えません。標準枠の価格は100万トークンあたり入力$2・出力$10(思考トークン込み)、キャッシュ$0.10が11月30日までで、12月1日から$4/$20(キャッシュ$0.20)です。バッチは$1/$5が11月30日まで、その後$2/$10です。コンテキストは1,048,576トークン、最大出力は65,536(長尺デコードを使うと最大1,048,576)です。Geminiアプリでは Google AI Pro・Ultra の契約者が使え、macOSアプリに Google Antigravity の画面が加わりました。Googleは同日、安全性の報告も公開し、模擬サイバー攻撃12シナリオをすべて解けた(前世代は5つ)こと、敵対的なテストで有害要求への違反がほぼ半分に減ったことを書いています。

So What

APIで試すなら、$2/$10は11月30日までの導入価格で、12月1日から倍になる前提で見積もります。無料ティアでは使えません。安全性の数字はGoogle自身の評価です。サイバー関連の緩和は、防御者向けプログラム(Fairwind)が別枠で続いています。

モデル・製品

Meta、Muse WonderとMuse Wonder Fullを公開。Meta Model APIとMuse Codeで提供

Metaが「これまでで最も高性能」とするモデルを、開発者向けAPIとコーディング製品に出した。

10月12日。Muse Wonder は Meta Model API と Muse Codeで当日から使え、上位の Muse Wonder Full は Muse Code の契約者向けです。Metaは、自社の Muse(アシスタント)にも順次載せ、まず契約者に展開すると書いています。特徴は、会話をまたいで要点を覚える Active Memory と、行き詰まっても別の手を試し続ける Active Focus で、評価には FocusBench と SWE-Marathon(長時間のソフトウェア作業)を使ったと説明しています。学習は同社のギガワット級データセンター Prometheus です。ベンチマークの数値は図の中だけで本文に書かれておらず、価格・コンテキスト長・提供地域も公式の本文からは確認できませんでした。

So What

Metaを「APIで使える選択肢」に加えるかを考える号です。ただし価格と数値が公式の本文に無いため、比較や乗り換えは、料金表とベンチマーク表を直接見るまで保留します。性能の主張はMeta自身の評価です。

モデル・製品

Meta、総816B(有効約42B)のオープンウェイト「Muse Spark Open」を公開。重みは承認制で、独自のMuse Model License

Metaが大型MoEの重みを出した。取得には承認が要るが、条項は公開され、再配布や蒸留も条件付きで認められる。

10月15日。Mixture-of-Expertsで、総パラメータ約816B、1トークンあたり約42Bが有効、コンテキストは最大100万トークンです。入力はテキスト・画像・音声・動画、出力はテキストで、Hugging Faceの解説はエージェント的なコーディング向けに訓練されたモデルだと書いています。重みのBF16版は約1.5TBで、transformersでの実行例は8基のH200を載せた4ノードです。MetaのHugging Faceリポジトリ(meta-models/Muse-Spark-Open-816B-A42B)は、重みの取得が手動承認制(gated: manual)ですが、Muse Model Licenseと利用ポリシーの全文はリポジトリ上で公開されています。条項は、使用・複製・改変(微調整を含む)・蒸留・公開・再配布・販売を認めたうえで、次を条件にしています。(1) ライセンスと利用ポリシーを添える。(2) 製品のUIや文書、設定画面などに「Built with Muse Spark Open」と表示する。(3) モデルをAPIなどで第三者に提供する事業(Model as a Service)で、関連会社を含む総売上が連続する12か月で2,000万ドルを超える場合は、Metaに通知して個別の書面契約を結ぶ(社内利用、研究、MaaS以外の商用には適用しない)。18歳未満向けではなく、出力の所有権はMetaが主張しません。

So What

自社の製品やサービスの機能として組み込む用途は、表示義務と利用ポリシーを守れば、条項上は広く認められています。注意が要るのは、他社へAPIで提供する事業(売上2,000万ドル超は個別契約)です。重みは承認制で、BF16で約1.5TBと大きく、動かせる環境は限られます。法務判断が要るときは、本号の要約ではなく条項の原文を確認してください。

モデル・製品

Reflection、初のオープンウェイト「Beam」を公開。総501B(有効23B)、Apache 2.0、コンテキスト100万トークン

新興ラボがコーディング・エージェント向けの大型MoEを、制約の緩いライセンスで出した。

10月16日。Reflectionは、Beamが同社初のオープンウェイトで、重みをHugging FaceでApache 2.0として公開したと書いています。Mixture-of-Expertsで総501B・有効23B、テキスト入力のみ、コンテキスト100万トークンで、コーディング・推論・長時間のエージェント作業向けです。重みはBF16・FP8・NVFP4と、投機的デコード用のドラフトモデルが付きます。Transformers、vLLM、SGLang、Unsloth、Axolotl、NVIDIA Dynamoが当日から対応し、40社超の提携があるとしています。自社APIは公開ベータで「無料で始められる」とあります。ベンチマークの最終値はモデルカードにあるとされていますが、本文からは数値を確認していません。

So What

Apache 2.0なので、前項(Meta)の独自ライセンスと条件を並べて比べる材料になります。ただしテキスト入力のみで、性能はReflection自身の主張のままです。自前運用には501B規模の資源が要ります。

モデル・製品

NVIDIA、Nemotron 3.5のSuper VL(120B)とBolt(74B-A9B)を公開。小型のBolt E4Bは10月23日

サーバー向け120Bとローカル向け24GB枠のオープンモデルが同時に出た。

10月15日。Nemotron 3.5 Super VLは120Bのオープンモデルで、常時稼働のエージェント向けです。Hugging Face、OpenRouter、ModelScope、NVIDIA NIMで提供され、NVIDIAは Artificial Analysis のリーダーボードで同クラスより最大5倍高速と説明しています。Nemotron 3.5 Bolt 74B-A9B(24GB)はHugging Faceで公開済みで、llama.cpp、Ollama、LM Studio、Unsloth、vLLMに対応し、10月16日発売のRTX Spark搭載ノート向けです。NVIDIAによればPinchBenchで同クラス1位、BrowseCompで2位です。Bolt E4B(4GB)は10月23日の予定です。

So What

ローカルで動かすエージェント用に、24GBと4GBの枠が選べるようになります。速度や順位はNVIDIA自身の比較です。ライセンスの条項は今回確認していません。

モデル・製品

SB Intuitions、国産生成AI「Sarashinaサービス」の無償ベータ版を開始。6モデルのAPIとチャットを無料で公開

国産LLM「Sarashina3」のモデルを、Googleアカウントだけで、申込みなし・無料で試せるようになった。

10月13日の開始です。提供するのは、API機能(Sarashina3 mini、nano、embedding、rerank、guard、translateの6モデル)と、ウェブ上で対話や翻訳を試せるチャット機能です。利用料金は無料で、Googleアカウントでのログインだけで事前の申込みは不要ですが、一定時間あたりのリクエスト数に上限(レート制限)があります。無償ベータの終了時期は未定です。無償ベータでは、品質向上のために利用者のデータを活用する場合があると注記され、取り扱いの詳細はサービスページの利用規約とプライバシーポリシーを見るよう案内されています。SB Intuitionsは、テキストの安全性判定、文書検索やRAG、検索結果のリランキング、翻訳など、求められる機能が多様化していることを背景に挙げています。モデルの大きさや性能の数値、APIの上限値は、プレスリリースに書かれていません。

So What

日本語の用途で、国産のモデルをAPIで試せる窓口ができた、という動きです。無料で、Googleアカウントがあればすぐ試せます。ただし利用データが品質改善に使われうる注記があるため、機密や個人情報を入れる検証は避けるのが無難です(注記からの筆者の判断)。性能の数字が出ていないので、他のモデルとの比較は自分で試す必要があります。

研究

Mistral、時系列予測の基盤モデル「Timestral」を公開。5M〜209Mの4サイズでCPUでも動く

GPUなしで使える、小さな時系列予測モデルのファミリー。

10月15日の発表です(Hugging Faceの重みの作成日は14日)。Mistral初の時系列基盤モデルで、サイズは5M・28M・123M・209Mの4つです。Mistralは、209Mが GIFT-Eval、TIME、fev-bench の3つの公開ベンチマークで、事前学習済みのゼロショットモデルの中で1位だと説明しています。GPUは不要で、8スレッドのサーバーCPUで、15分間隔・3週間分の履歴から1日先を予測すると、5Mで10ミリ秒、209Mで140ミリ秒です。ライセンスは「Modified MIT」と表示され、Mistral Forgeで自社データに合わせて微調整もできます。

So What

需要予測・センサー監視・容量計画のような時系列を扱うなら、GPUなしで試せる新しい基準になります。順位はMistral自身が提出した結果で、リーダーボードでは確認していません。「Modified MIT」の変更点も未確認です。

規制・安全

さくらインターネット・PFN・NICT、生成AIを継続的に評価する「能動的評価基盤」の社会実装へ。運用開始は来年度中を目指す

固定のテスト問題集ではなく、危うい問いを自動で作って生成AIを評価し続ける仕組みを、国内の3者が実運用に近づける。

10月14日の発表です。2025年9月18日の基本合意に基づく取り組みで、NICTが開発する能動的評価基盤を、さくらインターネットの「さくらのAI Engine」上で動かして検証します。現在の安全性評価は、あらかじめ用意したプロンプト集への応答を見る方法が中心で、開発側がそのプロンプト集を学習させれば高評価を得られてしまうことが問題意識として書かれています。能動的評価基盤は、「きわどいプロンプト」を自動で作り、評価対象の出力を自動で評価します。ヘイトスピーチや誹謗、ハルシネーションの可能性、バランスの欠けた出力などを検知できるようになりつつある段階です。運用開始は来年度中が目標で、まず「さくらのAI Engine」で提供する国内外のLLM群に試験的に適用します。あわせてPFNの国産基盤モデルPLaMo 3.0 Prime(フルスクラッチ開発、256Kコンテキスト、2026年6月22日に商用提供開始、さくらのAI Engineでは8月4日から提供)の後継モデルを、NICTと共同開発する方針です。

So What

「国産AIを日本の法令・文化に照らして継続的に検証する」役割を、民間のクラウド、PFN、公的研究機関が分担して実装に近づけている、という動きです。ただし運用開始は来年度中の目標で、今は検証の段階です。評価基準や結果をどう公開するかは、発表の本文からは確認できませんでした。

市場・業界構造

NTT西日本と茨木市、純国産LLM「tsuzumi 2」を使った小中学校の校務AI実証を開始。教職員の文書業務をオンプレミスで支援

外部のクラウドに出さず、学校内で動かす国産LLMの校務利用を、来年3月まで検証する。

10月13日に市立小中学校で開始し、期間は2027年3月31日まで(教職員の利用終了後の振り返りを含む)です。NTT西日本は、小中学校で純国産プライベートLLMを使った校務AIの実証は全国初(同社調べ、2026年9月時点)としています。教育分野向けのオンプレミス環境の生成AIアプリケーションを、比較的低コストなGPUサーバー上で動かし、チャット形式の質問、校務文書の検索・要約、文章作成の支援を試します。利用者の権限に応じたアクセス制御とローカル運用で、安全性と実用性を評価します。効果は、教職員へのアンケートとヒアリングで、情報検索や文書作成にかかる時間、回答の有用性、操作性、継続利用の意向を確かめます。

So What

機密性の高い情報を扱う現場で、外部クラウドを使わずに国産LLMを使う実例が出てきた、という動きです。結果が出るのは2027年3月以降で、効果の数字はまだ何もありません。tsuzumi 2 自体の性能は、この発表では説明されていません。

研究

欧州委員会、RAISEの「AI in Science Enablers」誓約を開始。Google DeepMind、Mistral、NVIDIAなどが応じる

欧州の研究者向けに、民間と慈善の資源を集める誓約制度ができた。

10月15日、ダブリンのEuropean AI in Science Summitで開始されました。民間・慈善の支援を集める制度で、当初の誓約者は Novo Nordisk Foundation、Nvidia、Elsevier、Sanofi、Frontiers、Mistral、Google DeepMindです。計算資源、モデルへのアクセス、ソフトウェアのライセンス、データ、研修などの現物支援が中心で、誓約は毎年見直されます。Google DeepMindとGoogle Cloudは、最大200人の欧州の研究者に、AlphaFold 3、WeatherNext、AlphaGenome、AlphaEvolve、AlphaEarth Foundationsへの直接アクセスと300万ドルの計算クレジットを提供すると公表しました。MistralとCERNは意向表明書に署名し、LHCの陽子・陽子衝突のシミュレーション数十億件で学習する「Large Physics Model」を目指します。CERNは「コライダー物理で初の基盤モデル」と書く一方、欧州委員会の文は「物理で最大の基盤モデルになる見込み」と書いており、表現が食い違っています。時期と予算は公表資料にありません。

So What

欧州の研究機関が、民間のAIと計算資源を受け取る窓口ができた、という動きです。対象は研究者で、一般の開発者向けではありません。金額が出ているのはGoogleの300万ドルだけで、実際の提供量は今後の進捗報告まで分かりません。

開発ツール

Claude Code 2.1.299〜2.1.302。アイドル時の自動圧縮が入り、単体版Claude Designの終了期限(12月14日まで)が通知される

放置した長い会話をキャッシュ切れ前に自動で圧縮する機能と、Claude Designの終了予告。

10月14〜16日。v2.1.299で、ターミナルで200Kトークン超の会話が約54分放置されると、1時間のプロンプトキャッシュが切れる前に自動で圧縮されます(次のメッセージで全体を再処理しないため)。最小トークン数は `CLAUDE_CODE_IDLE_COMPACT_MIN_TOKENS`、無効化は settings.json の `"idleCompaction": false` で、どちらもv2.1.290以降が必要です。v2.1.302は /config に「Idle compaction」の項目を足し、/design-sync と /design-login に単体のClaude Design(claude.ai/design)が2026年12月14日までに終了するという通知を加えました。クライアント側のオートモード分類器のモデルを選ぶ `CLAUDE_CODE_AUTO_MODE_MODEL` も追加です。v2.1.301では、最新のFableモデルが組織で使えないとき、`fable`(`best`)エイリアスが前のFableへ1回だけ再試行します。

So What

長い会話を放置する使い方なら、キャッシュ切れの再処理コストを避けられますが、圧縮で会話が要約される点は把握しておきます。claude.ai/design を使っているなら、12月14日までに終了するため、それまでに移行先を決める必要があります(Claude Codeの通知文が根拠で、Anthropicの告知は確認していません)。

規制・安全

Anthropic、評価機関METRの6人に社員並みのアクセスを与えたと公表。SecureBio・Accentureとも連携

外部の評価者を社内に受け入れる運用が始まり、公表の権限と削除の範囲が文書で示された。

10月15日。Anthropicは、先月署名したと書く「White House Accord on Super Intelligence」(外部の監査・評価機関との連携を約束するもの)に沿った動きだと説明しています。METRの6人に、会社支給のハードウェア、オフィス、社内ツールへのアクセスを与え、自社のリスク評価チームとほぼ同じ水準です。ただし、顧客のデータ、弁護士秘匿特権の情報、モデルのアーキテクチャ情報などは除きます。METRは分析を公表し、Anthropicは公表を止められませんが、事前に決めたカテゴリに当たる情報の削除は求められます。カテゴリに当たるかを決めるのはAnthropicで、METRは自分が受けたアクセスの水準を語る権利を持ちます。SecureBioとAccentureも評価者で、Hugging Faceを含む複数と早期の協議をしています。

So What

「どこまで見せたか」が、METRの公表で外から分かるかが焦点です。公表の範囲を左右する削除の判定はAnthropicが行う仕組みです(同社の文書による)。METRの分析はまだ出ておらず、評価の中身は確認できません。

規制・安全

Anthropic、米中間選挙に向けた対策を公表。政治の会話は5.75%、投票先を尋ねる依頼は0.01%

選挙関連の利用実態を数字で示し、州別の投票情報と開票結果の表示を加えると発表した。

10月14日。2026年9月21〜27日の米国Claude.ai(消費者向け)の会話約25万件をAnthropic Insightsで分析しています。政治・公共政策・社会問題に触れる会話が約5.75%、選挙や投票そのものが約0.51%、「誰(何)に投票すべきか」を尋ねる依頼が約0.01%、選挙の公正に関する方針に反する依頼が約0.002%です。今月中に、Democracy Worksの公的な投票情報を使い、州ごとの投票場所や必要な身分証への回答を会話の中で返し、選挙当夜と翌日以降は最新の開票結果を表示します。Opus 5.5、Sonnet 5.5、Haiku 5.5は、政治的な中立性の自社評価で99%でした。

So What

チャットボットが選挙に関わる利用の実態を、数字で出した点が材料です。ただし1週間分の会話をClaudeが自動分類した割合で、投票先の推薦依頼がごく少ないことを示すにとどまります。他社が同様の数字を出すかは確認していません。

市場・業界構造

OpenAI、EUのエージェント利用の報告書を公開。ChatGPT Enterpriseの標本で、CodexとChatGPT Workが出力トークンの過半

EUの法人利用が質問から作業の実行へ移り、国ごとの差が大きいことをOpenAI自身のデータで示した。

10月14日、OpenAI Economic Researchの報告です。EUのChatGPT Enterprise標本では、CodexとChatGPT Workが出力トークンの半分超を占めます。EUの中小企業では、2026年5月以降、CodexとChatGPT Workの週間利用者が8倍超になり、全加盟国で増えました。標本のChatGPT Enterpriseアカウントで両者が出力トークンに占める割合は、22%(スロベニア)から85%(リトアニア)まで開きます。トークン量が上位10%の「フロンティア企業」では、9月にEUのフロンティア企業が利用者1人当たりの出力トークンで一般的なEU企業の4倍超でしたが、EU域外のフロンティア企業はEUのフロンティア企業の2倍超で、世界のフロンティア企業に占めるEU企業は10%でした。標本はChatGPT EnterpriseとBusinessのアカウントのみです。

So What

「エージェント利用が主流になりつつある」という見立てを、OpenAI自身の利用データで裏付けた数字です。ただし対象はOpenAIの法人顧客だけで、EU全体の企業の利用率ではありません。「フロンティア」は同社の定義(トークン量の上位10%)です。

市場・業界構造

Microsoft、Azure Maiaを2027年からマルチギガワット級に拡大。Maia 300は「GPU比で1MWあたり40%多いトークン」と説明

自社チップを自社製品の主要な推論システムにする方針を、次世代の設計値とともに示した。

10月12日。Maia 200は、Copilotを含む自社の本番ワークロードで稼働中で、GitHub CopilotとMicrosoft Foundryは年内に追随します。Maia 200は米国・欧州・オーストラリアで展開され、OpenAIのモデル、MicrosoftのMAIモデル、主要なオープンソースモデルを動かし、Teams・Copilot・Coworkの組み込みAIで、主要なGPU基盤より1ワット当たり最大1.7倍のトークンを出すと説明しています。2027年に投入するMaia 300は、主要なGPUシステムより1メガワット当たり40%多いトークンを見込み、96アクセラレータ構成ではMaia 200の最大7倍のラック規模のトークン処理量です。HBM4を8スタック、ピーク18.0TB/s、TDP 950W、TSMCのN2Pで作ります。Microsoftは、2027年からマルチギガワット級に拡大し、Maiaを自社製品・サービスの主要な推論システムにすると書きました。

So What

「自社製品の推論は自社チップ中心」へ舵を切ったという宣言です。数値はすべてMicrosoftの設計目標か自社比較で、Maia 300は未出荷です。顧客がMaia上で動かすときの価格や条件は、この発表に書かれていません。

継続監視(今号では確定情報が無かったもの)

  • Mistral Large 4の重みは、10月6日の発表で「今月末まで」の公開予定とされています。10月18日時点で、Hugging Faceのmistralai配下に見当たりません。公開されたらライセンスを確認して扱います。
  • ChatGPTがChromeのタブを参照できるようになったとThe Vergeが10月15日に報じています。OpenAI側の一次情報を確認できていないので、項目にしていません。
  • Metaの利用規約から、ニュースサイトの取得を許す可能性のある文言が削除されたとThe Vergeが10月17日に報じています。Meta側の一次資料を確認できていないので、見送りました。
  • OpenAIのRosalind Academic Plan(10月15日、最大30席を最長12か月無料、利用は承認制)、Anthropicのシンガポール事務所開設とMOU(10月14日)、NVIDIAのVera Rubinラック設計のOCPへの提供(10月12日)は確認しましたが、読者にとっての変化を書ける材料が薄いので今回は見送りました。
  • 資金調達・買収は、一次情報(当事者の発表や提出書類)で確認できたものが今週は無かったので、項目にしていません。

各項目の「一次」は当事者自身の発表(公式ブログ・プレスリリース・公式ドキュメント等)、「参考」は報道・第三者分析です。数値や日付は発行時点で確認したものを記載しています。

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